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原作・博×福元 幹 役・斉藤朱夏 スペシャル対談

放送直後から話題となっているオープニングテーマ「はじまりのセツナ」がいよいよ音楽配信スタート、そして明日ちゃんが憧れるアイドル・福元 幹のミニアルバムが発売されたのを記念し、原作・博と福元 幹役・斉藤朱夏のスペシャル対談を掲載!
プロフィール

原作

主な作品に、『アクアリウム』『ゆめくり』『スーパーカブ』(挿絵)など。
『明日ちゃんのセーラー服』(既刊第1〜9巻)をとなりのヤングジャンプにて絶賛連載中。

福元 幹 役

斉藤朱夏

声優・アーティスト。
連載初期から『明日ちゃんのセーラー服』を応援しており、Twitterやブログでたびたびアツい思いを語っている。TVアニメ版で福元幹役を担当している他、劇中歌も歌っている。

  • ――“好き”と言われても信じられなかった

    斉藤朱夏(以下:斉藤)

    この間は『明日ちゃん〜』の挿入歌のレコーディングを見に来ていただいて、ありがとうございました!

    こちらこそ、お邪魔させていただいてありがとうございます。ツイッターで初めて『明日ちゃん〜』のことをつぶやいていただいてから、4年くらい経ちますね。

    斉藤

    わー、そんな経ちます!? こうやってお仕事で関わらせていただくことになるなんて、感慨深いです(笑)。

    あのとき、自分は斉藤さんのファンの方々からリプライで教えてもらったんですけど、声優さんに疎いので“しゅかしゅー”と言われても何のことかわからず(笑)。まずは何をされている方なのか調べました。斉藤さんはどういうきっかけで作品のことを知ってくださったんですか?

    斉藤

    私はもともと絵を見るのがすごく好きで、夜中にいろんな先生のイラストを漁ってるうちに明日ちゃんに出会ったんです。もうヤバかったですよ、本当にタイプで。目が丸くて丸顔で自分の好きなものがぜんぶ詰まってて、しかも黒髪って、もう正義じゃないですか! ……すみません、声が大きくなってしまいました(笑)。

    自分はネガティブなので、最初は好きでいてくださっているのが信じられなかったです(笑)。でも、斉藤さんのツイッターやラジオに触れているうちに、この人はとても素直に思ったことを仰る方なんだなということがわかりました。

    斉藤

    先生、もっと自信持ってくださいよ〜(笑)。今じゃツイッターにもめちゃくちゃ「いいね」が付くじゃないですか。私にとって『明日ちゃん〜』は、インディーズ時代から応援してるバンドが売れていくのを見るような、そんな特別感があるんです。「ついにアニメ化か。一緒に頑張ろう」みたいな(笑)。
  • ――作品と博先生の人柄が一致した

    単行本もずっと読んでいただいてるとお聞きしました。どこがよかったのでしょうか?

    斉藤

    泣けるんですよね〜。私、明日ちゃんに感情移入しすぎちゃって、毎晩毎晩泣いてるんですよ。まず最初に、お母さんにセーラー服を作ってもらったときの「着てごらん」でめちゃめちゃ泣けて。これは私の勝手な意見なんですけど、『明日ちゃん〜』っていう作品は、〝初めて〟のことがすごく多いと思うんです。中学に入って初めて同級生と過ごす経験だとか、恋ってなんだろうと考えることとか。そんな私たちにとってはもう当たり前になってしまってることの大切さに、明日ちゃんの視点を通して気づけるんです。……あの、私語りだすと止まらないんで、適当に切ってください(笑)。

    いえいえ、ほんとにその通りです。うまく言葉で表していただいてありがたいです。『明日ちゃん〜』って、正直ネームを書くのがめちゃくちゃ難しいんですよ。『明日ちゃん〜』を始める前に、漫画喫茶にこもって少女漫画を読み漁ったんですけど、女の子主人公の作品ってコンプレックスやカースト、いじめ、恋愛とかから始まる作品が多いんですね。でもそういう面白い漫画はすでにあるわけですから、自分は異なるテーマでいかに描こうかと考えると、どんどん起伏のないネームになっていっちゃうんです。だから、明日ちゃんが初めてのことに触れる姿だったり、すべてのものに感動する表情を描くことで、新鮮な漫画に感じてもらえるようにしています。

    斉藤

    私、博先生にお会いしたとき、作品と先生の人柄が自分の中ですごく一致したんですよ。「この人の描く作品は、こうなるよね」って。お会いする前は外見とか想像つかなかったので、超ドキドキしてたんですけど、実際にお会いすると「え、インテリ系!? おしゃれ!」みたいな。それ以前に、ライブにご招待したときもものすごく丁寧な感想を送ってくださって。こういう穏やかで優しくて、隅から隅まで丁寧な方だから、ああいう作品を描けるんだなって思いました。

    そういう風に自分のことを言ってもらうのは恥ずかしいですね(笑)。失礼かもしれないんですけど、斉藤さんのことを声優さんじゃなく女優さんだなと思ったんです。声専門のお仕事だけじゃなく、どんどん人前に出て表現できる方という意味で。そしてとても素直に自分を出せる人柄なので、ファンの方々はぜんぶ含めて好きになってしまうんだろうなと思いました。これは暴論ですけど、斉藤さんが「○○さんと付き合っちゃいました、イェイ」みたいなことを言っても、みんな「おめでとう」っていう空気になるんじゃないですか。

    斉藤

    あははは! 確かに、私キャラ作りとかできないんで、友達からも「素がまんま出ちゃってるけど大丈夫? もうちょっとかわいく振る舞ったら?」とか言われてます(笑)。
  • ――幹ちゃんが全力で楽しむ姿を届ける

    今回、斉藤さんに福元幹というキャラクターの声を演じていただいたんですけど、今のお話を聞いていて改めてすごく役に合ってるなと思いました。明日ちゃんが憧れるような人って、きっと斉藤さんのような方だと思うんですよ。だからどういう風に演じてもらっても、「福元幹はそう言うだろうな」と感じられると思います。斉藤さんはダンスもすごくお上手ですけど、幹ちゃんを演じるのは絶対にダンスが踊れる方がいいなって思ってましたし。

    斉藤

    私の方は、お話をいただいたとき「いいのかな?」って不安になりました。作品が好きすぎるので(笑)。正直、幹ちゃんは原作の中でもほとんど出てこないので、役の要素を拾っていく作業がめちゃめちゃ大変だったんです。「たった一言で明日ちゃんの心を掴むのって、長ゼリよりもはるかに難しいぞ」って。考えれば考えるほどよくない沼にハマっちゃいそうだったので、最終的には「とにかく私はこの作品が大好きだということを伝えよう」って気持ちで素直にやりました(笑)。

    レコーディングに伺ったとき、食い入るように歌入れの様子を見てしまったんですけど(笑)、幹ちゃんの歌に関してはいかがでしたか?

    斉藤

    ほんっっとうに難しかったです(笑)。王道のアイドルっぽい曲もあれば、坂道系の爽やかな曲もあるし、韓国っぽいラップもあったり、振り幅が大きくて。これを福元幹っていう一貫したキャラクターでどう歌おうか考えたとき、まずステージで彼女が歌う姿をイメージしてみたんですね。そしたら、ただ無我夢中でステージを楽しんでる姿が浮かんできたので、「常に〝楽しい〟を大事にして届けよう」って決めました。

    なるほど、すごく正しいと思います。幹ちゃんは、アイドルの研修生からスタートしてソロアーティストとして活動している子なので、いろんな楽曲をプロデュースされたり、その中に自分の色を入れたりということをぜんぶやってきた人だと思うんです。だから、いろんな楽曲があってもすべてに全力で応えるのが幹ちゃんだと僕も思っていました。あと、自分は普段ひとりで漫画を描いてるんですけど、斉藤さんのレコーディングはチームとして創作している感じがしてすごくうらやましかったです

    斉藤

    実は今回のスタッフさんは、私のソロも担当してくださってる方だったんです。だから私もやりやすかったですね。アニメはもうご覧になったんですか?

    え、まだ絵コンテしか見ていません(※この対談は昨年11月下旬に収録)。だから、自分の作品に音が乗った状態を見るのがすごく楽しみなんですよ。漫画だとスローモーションのようにいっぱい描いている絵が、アニメではどうなるのかっていうのも気になりますし。

    斉藤

    あの原作の躍動感がどう表現されるのか、注目ですよね。私は原作のどの話数までがアニメ化されるかさえも知らないので、今、ほぼほぼファンの方と同じ気持ちです(笑)。

    せっかくなので最後にお聞きするのですが、原作の今後の展開でこんなお話を『明日ちゃん〜』で読みたいというイメージは何かありますか?

    斉藤

    いや、もう明日ちゃんの思うがままに突っ走っていってくれればいいです。私自身はトゲのある道ばかりを選んで傷だらけになって走ってきたんですけど、明日ちゃんの選ぶ道って、とってもきれいだと思うんですよ。それがうらやましいし、そのまま進んでほしいです。あと、個人的には明日家のエピソードがもうちょっと読みたいなって。あのお父さんが大好きなので、お母さんとふたりのシーンなんかが見たいです(笑)。

    あはは、参考にさせていただきます(笑)。今日はありがとうございました。

    斉藤

    ありがとうございましたー!